2009年1月12日月曜日

消臭魂

全く消臭剤ほど気・液・固の三相にわたり、かつ界面現象を利用した製品もないのではないだろうか。スプレー式はエアロゾルだし液体式は濾紙の毛管現象、固体はゲル。なんでワタシのいた研究室にそういったメーカーさんから求人が来なかったのか不思議なくらいだが、今は来ているかもしれない。

それはそうとして、以前も書いたが、ワタシはこれまでいくつもの消臭剤を試してきて、「液体と固体はダメだ」と結論していた。理由がわかるだけに結論も堅かった。
だって、液体の場合、濾紙を液剤が毛管上昇するその最初は濾紙の表面も多孔質だし親水性だけど、一度液が浸透して蒸発した後は濾紙表面が液剤からの析出物で覆われてしまうから、表面積も小さくなるし、新液性も悪くなることは想像がつく。
固体の場合も、いくら表面積が大きいといっても結局気相との界面でしか消臭反応は起こらない。容器が減圧されているならまだしも、常圧では気体が固相内に浸透する速度などたかが知れている。
どちらの場合も、マイクロカプセルなどで芳香成分が徐放制御されていると考えられる製品は見たことがない。ゆえに最初だけ異様にいい香りがするが、じきに止んでしまう。
以上の理由からワタシは「スプレーしかない」と結論し、かつ「ヘタな芳香成分よりは、無香性のかすかな溶媒系の香りのほうが人工的でヨロシイ」としてきた。

ところが、最近スーパーであるゲル方式の消臭剤を見つけた。それには、「消臭効果に満足いただかなければお金はお返しします」とラベルが貼ってあり、返金請求用の購入証明書のようなものまで添付されていた。
まるでBOSEの「Quiet Confort」の発売当初のような心意気である。
そこまで言うなら試してやろうじゃないかと買った。置いてみた。するとマジで、「芳香成分」こそ徐々に薄れていったが、2ヶ月近くたった今も、消臭効果が確かにある。おトイレに入ったとき、空気がパリッとしているのだ。
確かに、即時対策としてのスプレーは別途必要だが、そのあとなんとなく引きずるものが確かにグッと少なくなった。
認める。その消臭効果を認める。

昨日も書いた中、偽装だなんだという事件が多い中、「名のあるメーカーが自信を持って打ち出した商品はさすがに高品質だ」というこのケースを、去年の日産GT-Rと同様ワタシは大変うれしく思っている。

この商品の効果の決め手は、よくわからない。ひとつ言えることは、ゲルが立方体状に切られていることだが、それなら表面積がせいぜい数倍になった程度であろう。
もうひとつは、使用中に薬剤に変色した部分が生じることだ。でも、明らかに気体と接触している部分が変色するわけでもないし、変色が最初に気づいたときよりそれほど進んだようにも思えない。

謎だ。謎だがよい製品だ。でもより気相との接触効率を上げるためにと思ってこのケースをブルブル振るのはやめろとダソナには言われている。

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